政府の年金制度改革で「遺族年金」が激減へ?
2025年に提出予定とされている政府の年金制度改革法案により、「遺族年金」の支給額が大幅に削減される見通しとなっています。従来、約2,336万円が給付されると見込まれていたケースが、今後はわずか365万円まで減額される可能性があるという報道もあり、大きな波紋を呼んでいます。
今回は、この法案の背景、遺族年金制度の変更点、そして一般家庭に与える影響について、わかりやすく解説します。
そもそも遺族年金とは?
遺族年金の基本
遺族年金は、家族の大黒柱が亡くなったとき、残された配偶者や子どもに支払われる公的年金制度です。以下のような種類があります:
- 遺族基礎年金:主に子のいる配偶者や子自身が対象。
- 遺族厚生年金:厚生年金に加入していた被保険者が亡くなった場合、配偶者や子、父母等に支給。
この制度は、日本のセーフティーネットの一部であり、民間の生命保険に代わる「最後の備え」として多くの人に認識されてきました。
年金制度改革法案の概要
2025年の通常国会に提出が見込まれている年金制度改革法案では、以下のような変更が盛り込まれる見通しです:
① 支給期間の「有期化」
現在、配偶者が亡くなった場合、遺族厚生年金は原則として終身で支給されます。しかし、改革後は支給が最長10年程度に制限される可能性が高いと言われています。
② 子の有無による格差の拡大
子どものいない配偶者への支給が大幅に制限される方向で調整が進められており、独身世帯やDINKs家庭(子どもを持たない共働き世帯)にとっては非常に厳しい内容です。
③ 保険料と給付のバランス調整
「持続可能な年金制度の確立」が目的とされており、将来世代への負担を軽減するという名目で、給付水準の引き下げが正当化されています。
2336万円から365万円に:なぜここまで減るのか?
報道によると、従来の試算では、平均的な会社員が亡くなった場合に妻に支給される遺族厚生年金は、生涯で約2,336万円。しかし新制度では、支給が10年間に限定され、合計額はわずか365万円になる可能性があるのです。
この数字には、次のような要素が影響しています:
- 有期支給により長寿リスクに対応できなくなる
- 給付率の見直しにより、実質支給額が減少
- インフレや物価上昇に対する調整も不透明
民間保険なら「契約違反」にもなりかねない?
ここで重要なのが、「民間の生命保険なら、このような大幅変更は許されない」という点です。
たとえば、保険契約後に以下のような変更がされたら、通常は法的トラブルになります:
- 保険金が90%以上削減される
- 保険期間が一方的に短縮される
- 保険料はそのままなのに保障だけが減る
公的制度とはいえ、これに近い変更が一方的に行われるというのは、国民にとって大きな裏切り行為とも受け取られかねません。
家計への影響と今後の対策
遺族年金が大幅に減るということは、「家族を残して死ねない」という社会的不安がさらに高まることを意味します。
特に影響を受ける世帯
- 子どものいない共働き世帯
- 高齢者世帯(年金への依存度が高い)
- 自営業者やフリーランス(元々年金が少ない)
対策として考えられる選択肢
- 民間の生命保険を活用する
公的保障だけに依存せず、民間の収入保障保険などで万が一に備える。 - 資産形成を強化する
NISAやiDeCoを活用し、自助努力による老後資金の確保を目指す。 - 制度の動向に注視し、声を上げる
議員やメディアに意見を届けることで、制度の透明性向上に貢献する。
最後に:知らないと損する時代へ
今回の年金改革は、「持続可能性」を名目に行われますが、その実態は国民一人ひとりの安心を切り崩す政策でもあります。
特に遺族年金の見直しは、「万が一の備え」が不十分になることを意味し、まさに家計と命に直結する問題です。
政府の発表だけに頼らず、正しい情報を得て、自分自身で備える力を養うことが必要不可欠です。
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